年末から少しずつ揃えた食材で、一品ずつ日持ちの長い順に作るお節料理。若い頃は義母の指示どおり手伝いをしていましたが、帰省できない折にはお気に入りの雑誌をレシピにして、好きな品を少しずつ作るようになりました。
そもそもお節料理は宮中のしきたりが民間に広まったもので、現在のような形になったのは江戸時代後半と言われています。
■一の重・・・縁起をかついで作られる祝い肴と、前菜にあたる口取りの二つが盛り込まれます。祝い肴にはかずのこ・田作り・黒豆・たたきごぼう、口取りにはきんとん・昆布巻きなどがあげられます。一の重は赤や黄など鮮やかな色合いの料理を詰めて、めでたさを強調します。
かずのこ・・・卵の数が多いことから、子孫繁栄を願う縁 起物です。
田作り ・・・かたくちいわしを素干 しにしたもので、五万米(ごまめ)とも書かれ五穀豊穣を願う縁起物。
黒豆 ・・・まめ(健康)に暮らせるようにとの縁起をかついで、家族の無病息災を願って食べます。
たたきごぼう ・・・戦国時代からお寺に伝わる精進料理で、長寿を願って食べます。
きんとん ・・・砂糖が高級品だった昔は、甘いものは特別の日のご馳走でした。その名残できんとんや伊達巻きが、一の重に祝い肴とともに明治以降詰められるようになりました。
昆布巻き ・・・昆布は別名「ひろめ」とも呼ばれ、鎌倉以降お披露目などのめでたい席に登場するようになりました。
■二の重・・・お節料理ではごちそうにあたる焼き物と、つけ合わせで添える酢の物。焼き物は魚介類の塩焼き・味噌付け焼き・照り焼きなどが定番です。酢の物は紅白なます・花れんこん・菊花大根などがあります。
ぶりの照り焼き ・・・ぶりは正月の飾り物、「懸魚(かけざかな)」として神様に供える魚。出世魚でもあるところから、祝いの膳に加えます。
花れんこん ・・・れんこんには穴があいているので、この一年の見通しがよいと縁起をかついで食べられます。
■三の重・・・もともと重詰料理の主役はしょうゆで味付けをする煮物。味がしみる、しょうゆ色に染まるという二つの意味を含んで、煮物のことを煮染め(にしめ)と呼ぶこともあります。根菜類が煮物に多く使われるのは、正月の頃が一番おいしい季節で繊維質がたっぷり採れることからで、油も使わないのでさめてもおいしさが変わりません。
くわい・たけのこ・にんじんの煮物
・・・くわいは芽がでるようにとの願いをこめ、梅型にんじんは、他に先駆けて咲き、すべての花が結実する梅にあやかり子宝が授かるという意味があります。たけのこは、中国の「二十四孝」に出てくる孟宗の寒中たけのこの親孝行の話や、一気に伸びる力に願いを託して食べられます。
年末の支度が済んで元旦を迎えると、多くの方が今年一年の無事と平安を願い初詣に出かけます。画像は熱田神宮の本殿前の様子です。
どうぞ、より良き一年でありますように・・・。
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