記憶にとどめたい画
最近封切られた映画 「劔岳 点の記 」のサブタイトルである。
スクリーンには圧倒的な映像美の中で、当時「 死の山 」と伝えられてきた前人未到の山・劔岳に挑戦する男達の姿が映し出される。
明治40年の陸軍参謀本部陸地測量部を舞台にした、新田次郎の原作。
日本地図最後の空白地点を埋めるべく、劔岳の初登頂と測量を命令された測量手達の命をかけた挑戦を描いたもの。
この時代にあって、CG・空撮一切なしの「 順撮り(脚本の流れ通りに撮影する方法)」で、リアリティへの徹底したこだわりを追求した作品である。
日本最高の撮影監督といわれる木村監督の執念が、2年という歳月を費やし、過酷きわまりない撮影を敢行したこの作品を、測量隊案内人役である香川照之は、「 世界遺産のような映画 」と評する。
TV映像で目にした、先行上映初日に登壇した監督の、マイクを持ったまま、一言も言葉を発することができなかった姿が印象に残る。
また、雪の劔岳に挑戦する彼らの勇姿は、遠い記憶の中から、同じく木村監督(当時カメラスタッフ)撮影の映画「 八甲田山(新田次郎原作) 」の雪中行軍シーンを思い起こさせる。
「厳しさの中にしか美しさはない。」という主人公のせりふにあるように、本物の美しさを壮大なスケール感で表現したこの作品を、深く記憶に残したいと思う。
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