ヘリテージマネージャーVol.5
多治見市にある、 「虎渓山永保寺」の 開山堂及び観音堂改修工事を見学してきました。
永保寺は夢窓国師を開祖とし、室町初期に建造された禅宗寺院で、昭和27年に開山堂と観音堂が、ともに国宝に指定されています。
左の写真は真新しい永保寺本堂です。
写真左奥にある桧皮葺の大きな建物が本堂で、唐破風屋根が取り付く瓦葺の建物が食堂(じきどう)ですが、今でも桧皮葺の寺院建築が建設されることに、少なからず驚きました。写真からは外れていますが、右手にはこれまた大きな庫裏がつながっています。
永保寺は建物だけでなく、夢窓国師の手による庭園もすばらしく、国指定名勝となっています。
臥龍池に流れ落ちる滝と梵音巌に建つ六角堂の眺めが、山水画のようで思わずシャッターを切りました。
※滝の流れる岩壁を梵音巌と称しています
こちらは、国宝開山堂です。昨年の夏に修理が終わっています。
禅宗様に特徴的な扇垂木は、全ての地垂木・飛燕垂木が放射状になっており、それぞれの部材についての原寸型板が発見されたそうで、まさに気の遠くなるような話です。
斗栱は三手先の詰組で、かなり込み入ったものです。これも禅宗様の特徴ですね。
軒先の反り上がりが顕著で、隅棟のあたりは完全に水勾配が逆になっています。葺き方の工夫で、雨水はきちんと排出されるそうですが、この意匠を造り上げるための先人の強い想いを感じさせられました。
文化財建造物保存技術協会の加藤さん(保存修理設計監理者)の話では、修理と調査は同時に行なわれ、どのような方法で修理を行なうかも、調査の結果と職人さんを交えた協議で決まっていくそうです。
文化財の保護・修理は、なかなかに時間とコスト、そして熱意が必要なんだと改めて思います。
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